膨大避難所

片手剣で欠かせない要素といえば「重心」がある。
重心というのは、重力の影響下にある物体で最も重力がかかっている部位である。
重心の位置は物体の形によって異なる。棒状の物体の場合は、指先などの点で支えたときヤジロベーやシーソーのように釣り合いを取ることができる部分を重心であり、真っ直ぐな棒の場合は棒の真ん中が重心になっている。

片手剣や棍棒の武器の場合は、取っ手部分か先端部分に偏っている事がほとんどであるが、
これは、重心の位置によって威力が上下したり、取り回しが変化するためで、武器の役割によって異なる。

例えば威力を重視する場合は、重心が取っ手から見て先端部分に向かえば向かうほど威力が上がった。その反面、武器を持つ手にかかる重量も上がってしまい素早く取り回すのが大変になるという欠点があった。これは棍棒や斧などに見られる特徴でもある。
逆に手元に重心が傾いた場合、威力は下がるものの手が受ける重さの負荷が下がるため、小回りがききやすくなり、素早く扱い易くなった。大抵の剣や刀は手元よりである*1ものの、どのような使い方を重視するかで、そこからさらに手元から重心の距離が変化した。

片手剣、特にヨーロッパの片手剣の重心は、鍔から切っ先へ向かって約10cm進んだところに存在していることが多かった。